科学はすべてを

栄養学に興味があるリノセウスです。科学について勉強したことや気になったことを書いていきます。雑記も書きます。

おいしいものほど体に悪い?

こんにちは、リノセウスです。

 

「おいしいものほど体に悪い」

テレビや日常会話なんかで使われるこの表現、よく耳にします。

確かに、山盛りのカツ丼、ラーメン、天ぷら等おいしそうなものはなんか体に悪そう...

おいしいと感じるかは人それぞれですが、私はいずれも大好きでよく食べています。

はたして本当に体に悪いのでしょうか。

 

 

rinoseusu.hatenablog.com

 

毒の概念という記事にて「毒」というものはなく、摂取量によって体に良いか悪いかが決まるとお伝えしました。この概念は食事にも通じます。

人間は動かなくても生きている限り脳や各臓器が動いておりますので、エネルギーを消費します。これを基礎代謝といいます。

基礎代謝がある限り動く動かないに関わらず、ある程度のエネルギーをなんらかの手段で手に入れなければなりません。成人男性の場合、基礎代謝で一日約1500kcalを消費しています。そして、仕事や運動などの身体活動によるエネルギーも合わせると、一日2000kcal~3000kcal(個人差あり)を食事で摂取するべきであると厚生労働省は述べています。

このエネルギー量を大幅に超えて摂取していると肥満やメタボリックシンドロームなんかになっちゃいます。

なので、最低限必要な量からメタボになるかもしれない量の間に「適切なエネルギー量」というものがあるわけです。目安として、自分の20歳時点での体重、あるいはBMI(体格指数と言います)が22になるような体重を維持できるようなエネルギーが自分の適正エネルギーとなります。

 

ここで冒頭の文言、おいしいものほど体に悪いというのは、おいしくてついつい多く食べてしまい、適切なエネルギー量を超えてしまうから体に悪いということであって、料理そのものが悪いわけではないんですね。もちろん、各種アレルギーや、糖尿病患者に対する糖質量など疾患を持っている場合に考慮すべき点は山ほどありますが...

少なくとも、おいしいから体に悪い、カツ丼だから、天ぷらだから悪いとは一概には言えなさそうです。おそらく、週に4回カツ丼を食べたとしても、適正エネルギー量の範囲内でかつビタミン、ミネラルなどの生きるために必要な栄養素が過不足なく摂取できていれば、健康を害する可能性はかなり低くなると考えられます。(週に4回もカツ丼を食べるような人がそのような食事ができるかは疑問ですが...)

 

好きだけど体に悪いから控えなきゃ…という思考に陥ってしまいがちですが、自分の健康状態を見て体と相談しながらうまく食べられるような食生活にしたいですね。

 

BMIについて少しお話を。Body  Mass  Index(体格指数)の頭文字をとってBMIです。

体重(kg)÷身長の2乗(m^2)で求めることができます。身長はセンチメートル(cm)ではなくメートル(m)です。

日本では、18.5未満だと低体重、18.5〜25未満だと標準体重、25以上だと肥満としています。22を適正体重としているので、この値を目指したいですね。 それではこの辺で。

 

参考文献

佐々木敏夫、菱田明「日本人の食事摂取基準2015年版」第一出版株式会社、2014

山崎昌廣「人体の限界 人はどこまで耐えられるのか 人の能力はどこまで伸ばせるのか」SBクリエイティブ、2018

中嶋洋子「改訂新版 栄養の教科書」新星出版社、2016

2020.10.17