科学はすべてを

栄養学に興味があるリノセウスです。科学について勉強したことや気になったことを書いていきます。雑記も書きます。

「絶対安全な食品」は存在しない

こんにちは、リノセウスです。

食に対する安全性が騒がれてやまない昨今ですが、安全な食品とはなんでしょうね。

安全ーー危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと。(goo国語辞書より引用)

危険がなく、生命にかかわる心配のない食品...

結論から申し上げますと、そのようなものは存在しません。その根拠を「遺伝子」と「細菌」の2つの観点から説明します。

 

最初に「遺伝子」について。私たち人間は一人ひとり顔や身長などの体のつくりが違います。これらの違いが生じる原因は遺伝子が一人ひとり異なるためです。顔が似ている人はいても全く同じ顔の人はいませんよね。

この違いは身体的な部分だけでなく、体質的な部分にももちろん影響します。

例えば食品アレルギーは、本来体に必要な栄養素を敵だとみなして免疫が過剰に反応してしまう現象です。アレルギーは全く起こらない人もいれば、小麦粉アレルギーを持つ人など様々です。

このアレルギーの発症ももちろん遺伝子による影響があります。(環境によるところも大きいですが)私は小麦粉を食べてアレルギーを起こしたことはありませんが、多くの小麦粉アレルギーの方がいらっしゃると思います。もしかすると私が明日食べる食品の何かが体に合わなくて毒となってしまうかも...

このように、一人ひとり体質、もとい遺伝子が違うため、ある食品が人間全員に安全であると言い切ることはできません。

 

次に「細菌」について。私たちの皮膚や口の中、室内の空間、スマホなど、この世界のありとあらゆる場所に細菌や微生物が存在します。もちろん食品の表面にも存在します。

細菌の多くは体の丈夫な免疫機能(胃酸や白血球など)によって排除されますが、存在している以上免疫機能を逃れ、感染症を引き起こす可能性が残ります。

細菌数0の食品を作り出すことはほぼ不可能ですが、限りなく0に近いものを作り出すことは可能です。それは、ガンマ線という放射線の一種を食品に照射することで作り出されます。わが国ではジャガイモにのみ使用が認められています。この記事でいうのもなんですが超安全です(笑)

細菌や微生物が存在しているからこそ、我々は加熱や消毒などをしてできる限り感染症の可能性を下げているわけです。

 

散々安全とは言い切れないとなどと申しましたが、「明日会社に隕石が落ちる可能性は0ではない」という文言と同じレベルですので、あまり気にしなくてよいでしょう(笑)日本の食に対する安全と公衆衛生はかなりの水準ですからね。

それでも、こういった認識は頭の隅の隅にでもあると食品の安全性に対する認識が変わるかもしれません。それではこの辺で。

 

参考文献

上村慎治「ケイン生物学」東京化学同人、2014

北里英郎「ウイルス・細菌の図鑑ー感染症がよくわかる重要微生物ガイドー」技術評論社、2016

薬理凶室「アリエナイ理科ノ大辞典 改訂版」三才ブックス、2019

参考ホームページ

農林水産省、消費・安全(2020.10.23時点) https://www.maff.go.jp/j/syouan/index.html